御礼

 東北大学 東北放射光施設推進会議 専門委員会では、施設建設にあたり先行して整備する第一期ビームライン のエンドステーションのデザインを広く公募する、デザインコンペを昨年開催いたしました。

 その開催および審査をお願いしておりました外部委員会(壽榮松委員長)の答申が提出されましたので 概要について、ここに御報告致します。

 なお、コンペに参加し、様々な素晴らしい提案を頂きました皆様には、御礼申し上げます。 応募者の方々には、別途ご連絡を致しますと同時に、詳細につきましては、後日公開致します。

専門委員会・事務局

外部委員会答申【骨子】

  1. SLiT-J施設のエンドステーションについて、わが国の放射光研究の叡智を結集するため、広く関連する研究者の参加を得て、デザインコンセプトのコンペを実施した。コンペは、わが国の関連する研究者に十分に周知・参加が呼びかけられた結果、わが国の主要な放射光科学研究者および利用研究者からの積極的な参画があった。  

  2. 公募は、3つのカテゴリー、(A)高度自動化ステーション、(B)先端計測ステーション、(C)要素技術、で実施され、計30件の応募があった。

  3. 第1次選考(27件採択)を行った後、公開シンポジウムを行い、各提案に対し広く放射光研究に関与する研究者から意見・示唆・コメント等を聴取した。これらの議論を参考に本委員会のコメントを、各提案者に送付した。各提案者から改めてエンドステーション施設計画提案書の提出を受け、その内容を基に評価した。 提出された提案書の集積は、本施設にとっては勿論、放射光科学における科学的技術的資料としても貴重な資料であり、答申(詳細)の付録1に掲載する。

  4. 本施設の立ち上げ時に先行して整備すべきエンドステーションに関し、わが国の産業界と学術界の基盤的放射光計測拠点として、まず整備すべきエンドステーションとして、高度自動化計測ステーションおよび先端計測ステーションの候補を以下の様に決定し、推薦することとした。(HX:硬X線領域 SX:軟X線領域)

(A)高度自動化ステーション:
  • X線吸収微細構造XAFS(HX)
  • X線磁気円二色性分光MCD(SX)
  • タンパク質結晶X線回折法(HX)
  • 小角散乱法(HX)
  • 粉末結晶X線回折法(HX)
  • 硬X線電子分光法(HX)
  • ナノビーム電子分光顕微鏡(SX)
  • ナノビーム走査型分光顕微法(SX)
  • マクロイメージング法(HX)
(B)先端計測ステーション:
  • X線吸収微細構造XAFS(SX)
  • 共鳴非弾性X線散乱RIXS(SX)
  • スピン・角度分解電子分光法(SX)
  • コヒーレント回折法等による機能イメージング(HX)

本委員会では十分な議論が出来なかったが、今後の課題として、幾つかの重要な課題が指摘された。その要旨を挙げておきたい。

  1. 実施計画立案と、ユーザーと建設チームの組織化:本委員会では、ESのデザインに関するコンセプトを議論したものであり、実際にビームラインとして建設するには、現実的・実施可能な計画と組織を編成する必要があり、それぞれの分野において、建設チームとユーザーコミュニティーおよび施設者が連携し、詳細な計画書を作成する必要があり、早急な組織化が必要である。
  2. 本施設の利用に関して、上記の施設建設と同時に、重要な目標であるコウリション連携を組み込んだ利用組織の構築が肝要であり、その組織化を強く期待したい。
  3. 利用システムの整備:幅広いユーザーを対象とした利便性の高い利用システムを早急に立案し、計画を進めるべきである。たとえば、メールイン計測、計測受託、データ解析受託、データ転送などのオンラインシステムなど、広く一般的な利用者を対象にした利便性の高い利用システムを整備することが、本施設の極めて重要な課題であり、早急に検討を始めることが必要である。



外部委員会【謝辞】

 まず本コンペに応募いただいた研究者の皆様に、その積極的な関与と熱意に、心よりお礼申し上げたいと思います。また、公開シンポジウムなどを通じて、本施設計画に高い関心を持ち、助言等頂いた方々に深く感謝いたします。本計画にとって、最も重要なことは、本施設の実現でありますが、昨年、本コンペの開始した時に比べ、現在、計画は着実な進展・進捗がなされていると考えております。この進展は、本コンペなど、多くの方々のご理解ご支援の賜物と感謝しております。わが国の研究者の皆様と共に、この実現を期待したいと思います。
 なお、本SLiT-J計画は、東北大学の並々ならぬご努力と熱意の結果であり、その強いイニシアチブに深く敬意を払いたいと存じます。 

デザインコンペ外部委員会



デザインコンペ外部委員会 【委員名簿 (敬称略)】

  • 壽榮松宏仁 委員長 (東京大学・名誉教授)
  • 太田俊明  副委員長 (立命館大学 総合科学技術研究機構 SRセンター長)
  • 朝倉清高  (北海道大学 触媒科学研究所・教授)
  • 雨宮慶幸 委員 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科・教授)(2017年3月31日まで)
  • 金子美智代 (トヨタ自動車株式会社 先進技術統括部 ・主査)
  • 上村みどり (帝人ファーマ株式会社 生物医学総合研究所 創薬化学研究所・上席研究員)
  • 後藤俊男   (理化学研究所 産業連携本部 創薬・医療技術基盤プログラム・ディレクター)
  • 髙尾正敏   (大阪大学 未来戦略機構・特任教授)
  • 高原淳    (九州大学 先導物質化学研究所・教授)
  • 中瀬古広三郎 (住友ゴム工業株式会社 常務執行役員, 研究開発本部長)
  • 生天目博文  (広島大学 放射光科学研究センター長)
  • 松原英一郎  (京都大学大学院工学研究科・教授)

経過

  • 公募:2016年7月15日〜9月15日

  • 一次審査結果発表:2016年10月17日

  • 公開シンポジウム:2016年11月11, 12日

  • エンドステーション施設計画提案書 提出〆切:2017年1月31日

  • 非公開ヒアリング@東京:2017年2月16, 17日

  • 外部委員会答申:2017年7月19日

  • 本学理事に内容説明:2017年7月24日